問題25(支援分野)(第19回-2016-h28)

問題25(支援分野)(第19回-2016-h28)

問題25
大地震があり、自分が担当する認知症の利用者及びその家族と避難所で面接した。利用者は興奮気味であり、歩き回ったり、大声を出したりして、他の避難者から迷惑がられているように見えた。介護支援専門員の対応として、より適切なものはどれか。2つ選べ。

1 避難者の迷惑を考え、利用者本人だけ外の車の中で生活するよう勧めた。
2 家族も大変なので、避難所のリーダーの監視下に置いてもらった。
3 外の混乱している様子が分からないよう、段ボールの小部屋に隔離した。
4 福祉避難所に移れないか、地域包括支援センターの職員に相談した。
5 周りの避難者に理解と協力を求めた。



解答 45

解説 例年事例問題は2問出題でした。今年から1問に変更となった様子です。第20回ケアマネ試験で事例問題が1問出題なのか、2問出題なのか不明ですが、傾向としては1問出題と予測しておいてもよいでしょう。

災害時の介護支援専門員の役割や、特に配慮を必要とする方への対応方法を学んでおくとよいでしょう。まだ「福祉避難所」の社会全体に認知されていないようですので、「福祉避難所」の定義等を確認しておきます。内閣府のホームページに詳細があります。

 

はじめに
 東日本大震災では、犠牲者の過半数を高齢者が占め、また、障害者の犠牲者の割合についても、被災住民全体のそれと比較して2倍程度に上ったといわれている。
 高齢者や障害をもった方々など特別な配慮が求められる方々にとっては、直接の被害だけでなく、必ずしも生活環境が十分に整備されたとはいえない避難所で、長く生活することを余儀なくされた結果として、健康を害し、復旧・復興に向けての生活再建フェーズへの移行に困難を生じているケースも見られる。
 本ガイドラインは、平成25年8月に策定された「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」を受けて、東日本大震災の教訓を考慮し、「福祉避難所設置・運営に関するガイドライン」(平成20年6月)を実質的に改定・修正する形で作成したものである。
 取組指針及び本ガイドラインの活用を通じ、地方公共団体や関係機関の福祉避難所に対する理解が進み、確保・設置が推進され、災害時に配慮を要する被災者へのよりよい対応が実現することが期待される。
 また、平時の取り組みなくして災害時の緊急対応を行うことは不可能であるとの認識に立ち、福祉避難所についても、市町村を中心として、平時から取り組みを進めていただきたい。

1 福祉避難所の意義と目的
1.1 福祉避難所の定義と対象
1.1.1 福祉避難所とは
 福祉避難所については、災害対策基本法施行令に、災害対策基本法による避難所の指定基準の一つとして、以下のように規定されている。
 「主として高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者(以下この号において「要配慮者」という。)を滞在させることが想定されるものにあつては、要配慮者の円滑な利用の確保、要配慮者が相談し、又は助言その他の支援を受けることができる体制の整備その他の要配慮者の良好な生活環境の確保に資する事項について内閣府令で定める基準に適合するものであること。」(災害対策基本法施行令第20条の6第5号)

 内閣府令で定める基準は、次の通り(災害対策基本法施行規則第1条の9)。
高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者(以下この条において「要配慮者」という。)の円滑な利用を確保するための措置が講じられていること。
災害が発生した場合において要配慮者が相談し、又は助言その他の支援を受けることができる体制が整備されること。
災害が発生した場合において主として要配慮者を滞在させるために必要な居室が可能な限り確保されること。

1.1.2 要配慮者とは
 福祉避難所の対象者として想定されているのは、法律上「要配慮者」ということになる。要配慮者は、「災害時において、高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者」(災害対策基本法第8条第2項第15号)と定義されている。よって、福祉避難所の事前指定やその準備は、これらの人々を対象として備えておく必要がある。「その他特に配慮を要する者」として、妊産婦、傷病者、内部障害者、難病患者等が想定される。これらの人々は、一般的な避難所では生活に支障が想定されるため、福祉避難所を設置し、受け入れ、何らかの特別な配慮をする必要がある。

1.1.3 福祉避難所の利用の対象となる者
 身体等の状況が特別養護老人ホーム又は老人短期入所施設等へ入所するには至らない程度の者であって、避難所での生活において、特別な配慮を要する者であること。具体的には、高齢者、障害者の他、妊産婦、乳幼児、病弱者等避難所での生活に支障をきたすため、避難所生活において何らかの特別な配慮を必要とする者、及びその家族まで含めて差し支えない。なお、特別養護老人ホーム又は老人短期入所施設等の入所対象者はそれぞれ緊急入所等を含め、当該施設で適切に対応されるべきであるため、原則として福祉避難所の対象者とはしていない。(出典:災害救助法 運用と実務 第一法規 平成26年 304頁)

 上記を原則としつつも、地域や被災者の被災状況に応じて、さらに避難生活中の状態等の変化に留意し、必要に応じて適切に対処する必要がある。なお、災害時における要配慮者を含む被災者の避難生活場所については、在宅での避難生活、一般の避難所での生活、福祉避難所での生活、緊急的に入所(緊急入所)等が考えられる。

1.2 東日本大震災の教訓を受けて ~広域で甚大な災害における福祉避難所の課題~
1.2.1 福祉避難所の課題
 東日本大震災では、岩手・宮城・福島の3県で約41万人、全国で約47万人が避難生活を余儀なくされた。避難所の解消は、岩手県で7か月、宮城県で9か月、福島県では2年9か月かかっており、避難生活の長期化が顕著であった。多くの高齢者や障害者、妊産婦、乳幼児等が被災し、福祉避難所の事前指定は十分とは言えず、また対応体制も満足できるものとは程遠かった。また被災地が広域に及び、相当数の避難所が立ち上がったため、十分な専門的支援を供給できなかった。
 福祉避難所については、阪神・淡路大震災における取り組みを総括した「災害救助研究会」(厚生労働省平成7年)が、「大規模災害における応急救助のあり方」において「福祉避難所の指定」を初めて報告した。それ以降、必要性は認識されているものの、事前指定への取り組みは地域でバラつきがあり、平成19(2007)年能登半島地震、中越沖地震において、福祉避難所が一定の機能を実現し、災害時要配慮者支援に貢献した例もあったものの、全体として十分な成果が得られないまま、東日本大震災が発生した。
 本ガイドラインでは、事前指定を進めるために、「指定可能性のある施設のリストアップ」を行い、協力を要請するように示しているが、東日本大震災においては、要配慮者の支援に関し、次のような課題があったことも指摘されている。それぞれ関連箇所の記載を参考に、行政と協力要請先で協働してこれら課題の解決策を考えることが、広域で甚大な災害も見据えた福祉避難所の事前指定の推進につながると考えられる。
○ 支援者の課題(第1章 5.2参照)
 福祉避難所を支える支援者の確保が不十分であった。
○ 移送の課題(第1章 5.3参照)
 広域に避難することを余儀なくされ、交通手段・燃料の確保が困難であった。
○ スクリーニングの課題(第2章 1.1参照)
 どの被災者に福祉避難所へ避難させるかの判断が難しかった。
○ 多様な要配慮者への対応の課題(第2章 3.2参照)
 多様なニーズを持つ被災者にきめ細かく対応することが困難であった。

2 ガイドラインの活用方法
 本ガイドラインは、地方公共団体の福祉避難所の確保・運営に関係する部局が活用することを想定している。
 本ガイドラインは、災害発生前と災害発生後の両者において、次のような機能を果たす。
 災害発生前においては、福祉避難所の確保・運営に関して、地方公共団体のとるべき対応についてのチェックリストとしての機能である。災害発生直後からの実施内容について整理し、そのための準備や取り組みをチェックするものであるとともに、地方公共団体が独自のガイドラインやマニュアルを作成する際の参考になるよう努めた。
 災害発生後においては、地方公共団体が福祉避難所の確保・運営を行うための指針としての機能である。災害発生直後からの実施内容を整理することにより、市町村が全体像を把握して、迅速・的確な対応をとることができるよう努めた。
 本ガイドラインは、多くの地方公共団体で活用されるよう、現時点で考えられる標準的な項目について記載している。このため、各地方公共団体においては、本ガイドラインを参考にしつつ、それぞれの地域の特性や実情、庁内体制、既存関係計画等を踏まえて、災害発生前から、必要となる対策について検討し、独自のガイドラインやマニュアルを作成しておくことが期待される。
 マニュアルには、さらに具体的な実施内容、実施時期、組織体制・担当部署、都道府県と市町村の役割分担を明記するとともに、関係協定・関係書式等を入れ込んでおき、その1冊を見れば基本的な対応は可能になるようにしておくことが望ましい。また、災害後における復旧・復興対策の進捗状況や評価を行うにあたっては、対応すべき項目ごとの実施時期を入れておくことも有効と考える。
転載者注:原本には、この「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」の各章の関係を示したフローが掲載されていますが、HTML化には時間を要するため、現在は、まだ作業をしていません。JDFいわて支援センターのサイトに、ワード版と機械的にHTML化した文書が掲載されていますので、そちらをご参照ください。

2 福祉避難所の指定
2.1 福祉避難所として利用可能な施設の把握
2.2 福祉避難所の指定

3 福祉避難所の周知
3.1 福祉避難所の周知徹底

4 福祉避難所の整備
4.1 福祉避難所の施設整備

5 物資・器材、人材、移送手段の確保
5.1 物資・器材の確保
5.2 支援人材の確保
5.3 移送手段の確保

6 社会福祉施設、医療機関等との連携
6.1 福祉避難所の設置・運営にかかる連携強化
6.2 緊急入所等への対応

7 福祉避難所の運営体制の事前整備
7.1 災害時要配慮者支援班の事前設置等
7.2 福祉避難所の運営体制の事前整備

8 福祉避難所の設置・運営訓練等の実施
8.1 訓練、研修等の実施
8.2 知識の普及啓発

第2章 災害時における取り組み
1 福祉避難所の開設
1.1 福祉避難所の開設及び要配慮者の受入

2 福祉避難所の運営体制の整備
2.1 避難所担当職員の派遣、要配慮者班の設置
2.2 福祉避難所の運営体制の整備、活動支援

3 福祉避難所における要配慮者への支援
3.1 福祉避難所の避難者名簿の作成・管理
3.2 福祉避難所における支援の提供
3.3 緊急入所等の実施

4 福祉避難所の解消
4.1 福祉避難所の統廃合、解消

詳細はこちらでご確認ください。

選択肢1は×を選択。問題文はより適切なのものとなっていますので、他の選択肢との兼ね合いも考える必要があります。本人一人にすることにより、より不穏になることが想定され、適当ではないと思われます。 

選択肢2は×を選択。一般的に考えて、介護経験のないリーダーの監視下においても、成果は得られないと思われます。

選択肢3は×を選択。選択肢3と4と5を比較しより適切なものと考えると、「段ボールの小部屋に隔離」 < 周りの避難者に理解と協力を求めた < 福祉避難所 が適当と思われます。

選択肢4は○を選択。地域包括支援センターにお勤めの受験生は「福祉避難所」の通知を業務で受け取っているので、容易に解答可能と思われます。

選択肢5は○を選択。適当と判断します。周りの理解を求めることも重要です。ご本人とご家族だけでは解決できないことは多々あります。思いやりがある福祉業界ですのでどの受験生も○を選択できたと思われます。



<<前のページに戻る 

目次ページへ移動

次のページへ進む>>

ケアマネ試験掲示板で質問する>>

 

このページの先頭へ